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日本緩和医療薬学会にて研究成果を発表しました!|モルヒネの鎮痛作⽤および腸管運動抑制作⽤に対する有機ゲルマニウム化合物(Ge-132)の効果

2025年6月20日(金)〜6月22日(日)に開催された「第18回日本緩和医療薬学会年会」において、研究成果をポスター発表しました。(本研究は、東北医科薬科大学との共同研究です。)

タイトルモルヒネの鎮痛作⽤および腸管運動抑制作⽤に対する有機ゲルマニウム化合物(Ge-132)の効果
会場  : 幕張メッセ 国際会議場
発表者 : 東北医科薬科大学 渡辺千寿子 准教授

1.研究内容

モルヒネは、がんの痛みの治療に広く使われる麻薬性鎮痛薬です。一方で、腸の働きを弱めることで便秘の副作用が生じます。特に、オピオイド誘発性便秘は耐性が生じない(=飲み続けても体が慣れて症状が軽くならない)副作用として知られ、治療の継続や患者さんの生活の質(QOL)を損なう課題があります。
本研究では、有機ゲルマニウム化合物(アサイゲルマニウム)による鎮痛作用や腸管運動抑制作用(便秘への影響)、モルヒネとの併用効果を動物実験で検討しました。

2.方法

1) 鎮痛作用: Tail-flick 法(マウスのしっぽに熱刺激を与え、はねのけるまでの時間を測定)を用いて、アサイゲルマニウムやモルヒネ投与後の鎮痛効果を経時的に観察しました。
2) 腸管運動抑制作用 : マウスに炭の懸濁液を投与し、腸内での到達距離から腸の動きを評価しました。

3.結果

1) 鎮痛作用

  • モルヒネ単独:用量依存的に鎮痛効果が増強しました。
  • アサイゲルマニウム単独:明確な鎮痛作用は確認されませんでした。
  • 併用(低用量モルヒネ+アサイゲルマニウム):有意な鎮痛作用が認められました
    ⇒モルヒネおよびアサイゲルマニウムは、それぞれ単独では鎮痛作用が確認されませんでしたが、両者を併用することで有意な鎮痛効果が認められました。

2) 腸管運動抑制作用

  • モルヒネ単独:用量が増えるほど腸の動きが低下しました(=便秘方向)。
  • アサイゲルマニウム単独:腸の動きへの影響はみられませんでした。
  • 併用(高用量モルヒネ+アサイゲルマニウム):モルヒネによる腸管運動の低下が有意に抑えられました

4.まとめ

アサイゲルマニウム単独では鎮痛作用を示さず、腸の働きにも大きな影響を与えませんが、モルヒネと併用することで「痛みをより抑え、便秘の副作用を軽減できる」可能性が示されました。
鎮痛補助剤として新たな併用療法のひとつになり得ると結論づけています。

5.補足

本研究は、マウスを用いた基礎研究です。治療への応用は現時点で研究段階にあり、人での有効性・安全性の検証が今後必要です。

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