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日本薬学会 第138年会にて発表しました

2018年3月26日に、石川県金沢市で開催された「日本薬学会第138年会」にて『有機ゲルマニウム化合物THGPはL-DOPAとの錯体形成を介してメラニン産生を抑制する』というタイトルで発表しました。

<発表の概要>

日時:2018年3月26日(月)
発表番号:26PA-pm275
場所:もてなしドーム 地下イベント広場
演題名:有機ゲルマニウム化合物THGPはL-DOPAとの錯体形成を介してメラニン産生を抑制する
発表者:研究部 安積 遵哉

<研究の概要について>

化粧品原料であるレパゲルマニウムは水溶性であり、溶解することでモノマーの3-トリヒドロキシゲルミルプロパン酸(THGP)になります。THGPはこれまでに抗炎症作用・鎮痛作用・免疫賦活作用等が報告されています。近年の研究においては、THGPはシスジオール構造を有する物質(例;アドレナリンなど)と錯体を形成することがわかっています。

一方、私たちの皮膚には、細胞核のDNAを紫外線(UV-B)のダメージから守るものとして「メラニン」という色素を合成する機能が備わっています。作られたメラニン色素は、皮膚のターンオーバーにより、垢と一緒にはがれ落ちていきます。しかし強い紫外線を浴びたときには、メラニンを作り出す「メラノサイト」が活発になり、多量に作られたメラニンは「ケラチノサイト」で沈着してしまい、これが「シミ」の原因になります。

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本研究では、メラニン産生に対してTHGPがどのような作用をするか酵素反応試験、メラニン産生細胞を用いて検討しました。
それにより、

1. 酵素反応試験においてTHGPとメラニンの前駆物質であるL-DOPAが錯体形成することで、メラニン産生を抑制する
2. 既知のメラニン産生抑制物質であるコウジ酸とTHGPの併用は、相乗的な効果が認められた
3. メラニン産生細胞を用いた試験では、細胞外へのメラニン放出を抑制したが、メラニン産生関連遺伝子の発現には影響を及ぼさなかった

という結果が得られました。

本研究の結果は、皮膚でのシミの原因物質のメラニンが作られるのを妨げる働きを示すものです。これまでの美白剤などとは異なるメカニズムであることから、他の美白剤との併用効果も期待されます。

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