研究(文献)の紹介Usefulness

免疫に対する作用

免疫のメカニズムと免疫機能の低下

「免疫」は、私たちの健康を保つための防御システムの一つです。免疫システムが働くことで、病原体(細菌やウイルス)などの外敵から身体を守っています。
免疫システムは、基本的に自然免疫と獲得免疫の2種類に分類されます。体内に侵入した病原体にいち早く反応するのが「自然免疫」で、マクロファージ系の細胞、NK(ナチュラルキラー)細胞などがあり、いつも体内を巡り、侵入してくる病原体を見張っています。NK細胞は侵入してきた病原体を認識すると攻撃を始めます。マクロファージは認識した病原体を捕食し、ばらばらに分解すると同時に、自然免疫だけで対処不可能な場合に、獲得免疫へ病原体の情報を伝え、助けを求めます。

免疫のメカニズム

≪免疫のメカニズム≫

健康を保つために重要な働きをする免疫システムですが、年齢を重ねるごとにその機能は低下していきます。
グラフは、年齢と免疫機能や感染症、癌のリスクの関係を示したものです。免疫機能は20~30代でピークに達し、以降は加齢とともに低下していきます。一方で感染症や癌のリスクは免疫機能が低下した頃に上昇していきます。つまり、免疫機能が低下することで病原体の侵入や、発癌のリスクが増加してしまうのです。
健康に過ごすためには、免疫機能を高いレベルで維持することは非常に大切な事だといえます。

加齢に伴い免疫機能は低下し、感染症・癌のリスクが高くなります。

最近は、免疫機能を高める食品素材として、乳酸菌やキノコ類(βグルカン)などがありますが、実はアサイゲルマニウムも、古くから免疫に関わる素材としての研究が行われてきました。ここでは、その研究の一部をご紹介します。

インターフェロン-γを誘導するアサイゲルマニウム

実験① インターフェロン-γ産生誘導作用

インターフェロン、特にインターフェロン-γは、マクロファージやNK細胞といった自然免疫を活性化させる重要な物質です。
アサイゲルマニウムのインターフェロン-γ誘導作用は、免疫の研究の中でも比較的初期に取り組まれました。

試験

様々な年齢層の健康な人12名にアサイゲルマニウムを摂取して頂き、血液中のインターフェロンの量にどのような変化が出たのかを調べました。

結果

個人差はあるものの、年齢・性別に関わらず、すべての方でインターフェロン力価が上昇し、30時間後あたりにピークを迎えていることがわかりました。

健常人へのアサイゲルマニウム摂取(75mg/kg)によるインターフェロンカ価の変化

自然免疫の活性化(NK細胞)

実験② アサイゲルマニウムよるNK細胞活性化作用

NK細胞は「ナチュラルキラー細胞」の略称で、文字通り「生まれつきの殺し屋」という意味です。侵入した病原体や異常細胞を認識すると、いち早く攻撃を始める細胞です。

試験

健常人ボランティア9人を3人ずつ3群に分け、アサイゲルマニウムをそれぞれ25, 50, 100 mg/kg摂取して頂き、末梢血リンパ球のNK細胞の活性を測定しました。

結果

いずれの群の人も、アサイゲルマニウム摂取後1日後よりNK細胞の活性が上昇し、その後4日間活性が維持されることがわかりました。

アサイゲルマニウム経口投与後の健常人末梢血中のNK細胞活性

自然免疫の活性化(マクロファージ)

実験③ マウスの脾臓NK細胞活性と腹腔内マクロファージ活性化作用

マクロファージは、体内に侵入した細菌などの侵入者を認識し、捕食して分解するのと同時に侵入してきた病原体の情報を獲得免疫へ伝える役割を担っています。

試験

マウスにアサイゲルマニウム 300 mg/kgを経口投与し、脾臓のNK細胞の活性と、腹腔内のマクロファージの活性の変化について調べました。

結果

アサイゲルマニウム投与後24時間目に、脾臓におけるNK活性は一峰性の増強作用が確認されました。さらに腹腔内マクロファージの活性はNK活性より24時間遅れて48時間後にピークを示しました。

アサイゲルマニウム経口投与マウスにおけるNK活性増強と細胞障害性マクロファージの誘導

なおこの実験では、腹腔内マクロファージの数が増えたわけではなかったため、アサイゲルマニウムを飲んだことで誘導されたインターフェロンによって、マクロファージが活性化されたと考えられます。

免疫とアサイゲルマニウム

アサイゲルマニウムを摂取することで、インターフェロン-γ産生誘導が起こり、自然免疫であるNK細胞やマクロファージが活性化するという研究を紹介しましたが、免疫システム全体から見ると、ごく一部にすぎません。冒頭で示したイラストにもありますが、免疫に関わる細胞は多岐に渡っています。複雑でシステマチックに働く免疫システムと、アサイゲルマニウムとの関わりについて、現在も研究が継続されています。

参考文献

  1. Toxiocology and Phase I Studies on a Novel Organogermanium conpund, Ge-132
    Miyao, K., Onishi, T., Asai, K., Tomizawa, S., & Suzuki,F. Current Chemother. Infect. Dis. Vol.2 1980
  2. 有機ゲルマニウム化合物Ge-132の薬理活性(総説)
    佐藤博、宮尾興平
    医学と薬学 9(3) 1983
  3. 有機ゲルマニウム化合物Ge-132のマウスにおけるIFN誘起能とNK細胞,マクロファージ活性化作用
    麻生久、鈴木富士夫、山口高弘、林芳郎、海老名卓三郎、石田名香雄
    癌と化学療法 9(11) : 1976-1980, 1982
  4. 羊土社「免疫学がわかる」
  5. 東洋医学舎「有機ゲルマニウムの科学」
  6. 免疫調節因子としてのインターフェロン
    熊谷勝男、荒井澄夫
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    Catalona WJ, Ratliff TL, McCool RE.
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  8. じん肺症患者での2-carboxyethylgermanium sesquioxide(Ge-132)経口投与によるIFN誘起とNK細胞活性およびADCC活性増強
    麻生久、小林弘行、杉山京子、斎藤健一、千代谷慶三、石田名香雄
    日本災害医学会会誌 36(3) : 233-237, 1988
  9. O2-産生能からみた癌患者の末梢血単球機能について
    神代龍之介、玉田隆一郎、平本陽一郎、安倍能成、能塚隆之、中川原章、井口潔
    医学と薬学、9(6) : 1845-1847, 1983
  10. 次世代抗体医薬としてのポテリジェント抗体
    設楽研也
    薬学雑誌 129(1)3-9, 2009
  11. 新インターフェロン誘起剤
    海老名卓三郎
    蛋白質・核酸・酵素 別冊25 1981

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