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長引くその咳…もしかして!?

2019/06/20

気が付けば平成から令和に元号も移り変わり、10連休という大型連休も終了しました。

そんな大型連休から1ヶ月以上経ち、各地梅雨入りし、どんよりした天気が続いていますね。

 

梅雨の時期に、「風邪でもないのに咳が止まらない」という人が増えているようです。

今回のテーマは「梅雨と夏型肺炎」についてです。

 

(1)梅雨の時期に咳が・・・なぜ?

 

風邪をひいたときには咳が出ます。

これは異物や細菌に対する身体の防御反応によるものです。

通常、風邪による咳は自然に治まっていきますが、本格的な暑さが始まる前のこの時期に咳が長引くようであれば、それは「夏型過敏性肺炎(夏型肺炎)」の可能性があります。

原因はアレルギー反応によるものと言われます。

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特に梅雨の時期は湿度が高い状態が続くので、カビが発生しやすくなります。

特に湿気のたまりやすい浴室、キッチンなどの水場や、エアコン内でカビの繁殖が進んでしまいます。

カビが繁殖する際には「胞子」を空気中に放出するのですが、そのカビ胞子を私たちが吸い込みます。

それを身体の免疫細胞がキャッチすることで、肺で免疫反応と炎症が起き、咳が出ることにつながるのです。

 

咳のほかにだるさ・発熱なども起こるので、夏風邪と判断されがちなのが厄介なところです。

外出した時や、エアコンを使用しない時期が来ると症状が軽くなったりするので、余計に見過ごされやすいのです。

 

心当たりがある方は、一度しっかり病院で診てもらった方が良いでしょう。

 

(2)原因となるカビの特徴と対策

 

夏型肺炎の原因となるのは「トリコスポロン・アサヒ(Trichosporon asahii)」という種類のカビです(右図)。
気温・湿度ともに高いほど繁殖しやすいのですが、下記の条件下では爆発的に繁殖します。

気温;25~28℃
湿度;80%以上
(参考文献;宮崎泰成、稲瀬直彦 新規に保険収載された検査法 抗トリコスポロン・アサヒ抗体 モダンメディア 59巻 10号 2013 [新しい検査法])
トリコスポロン

 

 

カビが放出する「胞子」を繰り返し吸い込むことによって、そのカビ胞子に対して敏感に反応して咳が出る状態になってしまうのが夏型肺炎です。

 

つまり、日ごろからこの胞子が飛ぶ量を減らす対策をしておくことが重要です。

ではどんな対策が有効なのでしょうか?

 

<対策方法>

掃除&カビ予防

まずはカビを繁殖させないような環境を作ることが大切です。

水気の多い場所(シンクや洗面台、浴室)などは、水気をふき取るだけでもカビの繁殖を抑えることができます。

できてしまったカビを取る場合は次亜塩素酸系のカビ取り剤を使います。

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掃除やカビ取りをしてよく乾かしたのち、消毒用アルコールなどを塗っておくと、カビが生えにくくなるそうです。

特に最近はドラッグストアに燻煙タイプの防カビ剤などもあり、簡単に入手することができます。

掃除をしたら、ぜひカビ予防までセットで行って、カビ発生を抑える効果をUPさせることをおすすめします。

 

②エアコン内の清掃

これは非常に重要な対策法です。

じめじめする季節なので、除湿機能などを使用して湿度調整する人も多いと思いますが、実はエアコンの中こそがカビが繁殖しやすい場所なのです。

他の場所をどんなに掃除しても、エアコン内でカビが繁殖していると、つけたときに結局カビ胞子をばらまくことになってしまいます。

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エアコン内のカビ繁殖を抑えるために…

(1)エアコンを使用した後は1時間ほど送風運転させて内部を乾燥させましょう。

(2)こまめにエアコンのフィルターの掃除をしましょう。

(3)できれば年に1回は専門の業者に内部洗浄を依頼すると完璧です。

 

③転居

それでも症状が改善されない状態が続くと、医師の指導で転居を薦められることもあるそうです。

大胆な対策法で、非常に負担は大きくなりますが…。

 

まとめ
じめじめする時期に繁殖していくカビ。

部屋が汚れるだけではなく、夏型肺炎の原因にもなるため、掃除やカビ予防が重要です。

梅雨時期から夏にかけて、長引く咳がある、発熱やだるさが続く、外出したら症状が軽くなるなどの状態がみられるようなら、念のため医療機関にかかった方が良いかもしれません。

本格的な夏を迎える前に、環境と体調を整えてさわやかに過ごしましょう!

インフルエンザはただの風邪??

2019/01/16

いよいよ新年を迎え、寒さも厳しさを増す時期に差し掛かりました。

この厳しい寒さとともに、インフルエンザの流行も始まりますね。

今回はそのインフルエンザについてのお話です。

 

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● インフルエンザってどんなもの??

ご存知の通り、インフルエンザウイルスに感染することによって発症します。

このウイルスを病原とする「気道感染症」をインフルエンザと呼び、「重くなりやすい疾患」として「一般のかぜ症候群」とは分けて考えるべきとされています(国立感染症研究所HPより)。

 

インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型がありますが、人では主にA型とB型が流行します。

その年によって流行するウイルスの型が違うために厄介なのです。また、感染力が非常に強いのも特徴です。

インフルエンザにかかると、

● 38~40℃の高熱

● 頭痛

● 関節痛や筋肉痛

● 倦怠感

このような症状が急激に現れます。そして、これらと同時あるいはその後に上気道(鼻腔から喉頭)の炎症状態、いわゆる咳や鼻水などの症状が出てきます。

 

つまり

風邪っちゃ風邪なんだけど、重くなりやすいので気をつけなきゃ!

ということです。

 

● インフルエンザの予防法は?

インフルエンザは「重くなりやすく」、「感染力が強い」疾患ですので、予防が大事です。

特に「ハイリスク群」に当てはまる方にとっては、重症化や合併症を避けるためにも予防が重要になります。

 

<ハイリスク群>

  1. 65歳以上の高齢者
  2. 妊娠している方
  3. うっ血性心不全などの心疾患を有する方
  4. 慢性腎不全・透析患者・腎移植患者など腎疾患を有する方
  5. 慢性気管支炎・気管支喘息などの慢性呼吸器疾患を有する方
  6. 糖尿病などの代謝異常を有する方
  7. ステロイドなどの薬剤投与による免疫不全状態の方

 

では実際にどのような予防法があるのでしょうか?

 

<ワクチン接種>

ワクチン接種によって、完全に感染を防げるわけではありませんが、感染したとしても症状緩和に役立つと言われています。

特に子どもや、感染時に重症化の危険がある「ハイリスク群」の方には有効です。

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<帰宅後の手洗い・うがい>

基本中の基本ですが、帰宅後に手を洗うことによって、接触による感染を防ぐことができます。

ウイルス表面のタンパク質は石鹸によって変性し、感染力を失います。

うがいは喉の洗浄だけではなく、喉を乾燥から守る役割もあります。

この時期は是非とも手洗い・うがいを心がけましょう。

 

 

<温度・湿度の管理>

インフルエンザウイルスは寒くて乾燥している環境を好み、逆に暖かくて湿潤な場所を嫌います。

特に室温を20~25℃、湿度を50~70%になるようにして40%を下回らないように気を付けると、インフルエンザの感染力を抑えることができると言われています。

暖房をつけるときは加湿器を使用したり、敢えて洗濯物を部屋干しするなどで、室温と湿度を保つことができます。

Humidifier spreading steam into the living room

<栄養・休養を十分にとる>

免疫力や体力を維持するためにも十分な食事と休養は大切ですね。

 

<人ごみを避ける>

ウイルスを一番もらいやすい場所は人ごみです。人ごみを避けると、ウイルスも避けられます。

通勤や通学などで電車に乗ったり、人が多いところを歩かなければいけない時はマスク着用が有効です。

 

<マスクをする>

マスク着用によって、咳やくしゃみなどで飛散したウイルスからの感染を防ぐことができます。

実際にインフルエンザ流行時期に病院内でマスク着用による飛沫感染予防に取り組んだところ、有効であることが報告されています(環境感染 Vol.21 No.2, 2006)。

 

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● インフルエンザにかかったら?

予防をしていても、かかることもあります。

38℃以上の熱が急に出た場合は、まず医療機関を受診した方が良いでしょう。

インフルエンザの治療薬は、48時間以内に服用することで充分に効果が発揮されるといいます。

通常、発熱期間を1~2日短縮し、鼻や喉からウイルス排出も減らせるので、感染拡大も抑えられるのだそうです。

 

子どもがインフルエンザに感染した場合は、「学校保健安全法」で「出席停止」になることが定められているので、その期間内はしっかりお休みするようにしましょう。

 

休んでいる間は、睡眠をしっかりとることが重要です。

また、熱がある間は睡眠中も多くの水分が身体の中から出ていくため、こまめに水分補給をするようにしましょう。

 

インフルエンザは飛沫感染や接触感染によって家族内感染も起こしやすい疾患です。症状が治まってもウイルスが完全に死滅したとは限らないので、油断は禁物。感染後はインフルエンザにかかった本人も、その家族もマスク着用などの対策で感染が広がらないように気を付けましょう。

 

 

● まとめ

  1. インフルエンザはいわゆる「風邪」と似ている症状もありますが、重症化しやすく、感染力が強いことが特徴で、ハイリスク群に当てはまる方は特に注意が必要です。
  2. 寒く、乾燥するこの季節はインフルエンザ感染者が増える時期です。うがい・手洗い、温度や湿度の調整、栄養や休養の充実、人ごみの回避、マスク着用などで予防しましょう。
  3. 急な発熱など、体調の異変を感じたら、まずは医療機関を受診しましょう。

 

インフルエンザを予防して、平成最後の冬を元気に乗り切りましょう!

紫外線も、身体にとっては栄養素!?

2018/09/26

このコラムでは、健康に関することを中心に生活に役立つ情報を発信して参ります。
今回は、記念すべき第一回目ということで、「紫外線(UV)の働き」をキーワードにお話します。

 

さて、夏も終わり秋に入ってきていますが、紫外線は年中降り注いでいますので、ケアが大事になります。

なぜ紫外線ケアが大事なのか、有効な紫外線ケアの方法、また過度な紫外線ケアによるデメリットもご紹介します。

 

<なぜUVケアが大事??>
そもそも紫外線は、太陽から照射される「太陽光」の一種です。

紫外線は年中私たちに降り注いでいますが、特に4月から多くなりはじめ、夏場の7月、8月にピークを迎えます。そしてその後は徐々に減少していきます。

図1

 

一言で「紫外線」と言っても、特性ごとに分類すると大きく3つに分けられます。

 

UV-A
UV-A~Cの中で、大気を通過し、地表に1番大量に届く。メラニンを増産させることによって、肌を黒くさせ、色素沈着させる(サンタン)。また、真皮層まで浸透し、ダメージが蓄積することで、皮膚のタンパク質が変性し、弾力やハリを失わせてしまう。
UV-B
UV-Aの1/10程度しか地表には届かないがエネルギーが強く、表皮細胞に作用し、炎症を引き起こす(サンバーン)。防御反応としてメラニンを産生することで日焼け(サンタン)の状態になる。しかし一方ではビタミンDを合成するという大切な役目を持つ。
UV-C
強い殺菌作用があり、生体に対する破壊性が最も強いが、オゾン層で守られている地表には通常到達しない。

紫外線は私たちの身体、特に皮膚に対していろいろな影響をもたらしています。

メラニンの過剰産生は、シミやそばかすの原因になりますし、皮膚のタンパク質が変性することで、ハリを失い、シワの原因になります。「光老化」とは紫外線によって起こるこれらの老化現象を言うのです。

 

私たちの身体は紫外線から身を守るために様々なシステムを持っているのですが、年齢を重ねることによって、紫外線に対する抵抗力も衰えてきます。

最近では、老若男女問わずUVケアの大切さが広く知られ、様々なケア方法や商品が開発されています。

 

<有効なUVケアの方法とは??>
UV対策として、ケアの方法をいくつかご紹介します。

 

日傘

日差しが強くなってくると、日傘を欠かさず利用している女性を良く見かけますが、さすがに男性の日傘利用はなかなか定着しませんね。

 

日傘は色によって、紫外線をシャットアウトできる確率も違うようです。

 

一般的には、紫外線の吸収率が高いと言われていることから、黒がよいとされています。

しかし表はUVカット加工がなされていれば、黒でも白でもあまりこだわらなくていいようです。

大事なのは裏側の色のようで、裏地が白だったりするとアスファルトからの紫外線の照り返しもあって、日傘の中で日焼けしてしまうので逆効果になる場合も。

したがって、日傘を選ぶ際は裏地が黒などの暗い色で、表側はUVカット加工を施されたものがおススメです。

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ただし、日傘だけで十分UV対策ができるかといえば、答えは「No」です。

アスファルトの照り返しもあるので、十分なUV対策には、他の方法との合わせ技が必要となります。

 

日焼け止め

世の中にはたくさんの日焼け止めが流通しています。

ここでお伝えしておきたいことは「選び方」と「塗り方」です。

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まずは、「選び方」です。

容器の表示を良く見てみると「SPF」や「PA」と書いてあります。基本的には、これを目安に選ぶとよいでしょう。

 

「SPF」は「Sun Protection Factor」の略語で、日焼けの原因になるUV-Bを防ぐ指標として使われています。

この「SPF」の後には数値が来て「SPF50」などの表示がされています。

これは「日焼け止めなしの場合と比べて日焼けするまでの時間を50倍延ばせます」という意味になります。

因みに、これまでSPF50が最高と言われてきましたが、最近「SPF50+」という表記も認められ、これは「51倍以上日焼けまでの時間を延長します」という意味になります。

日本でSPF51のように表記できないのは、50以上の数値を記載してはいけないというルールがあるからです。

なお海外では「SPF80」のように、50よりも高いSPF値の表示も認められています。

 

また「PA」の方は「Protection grade of UV-A」の略語で、メラニンを増産させて色素沈着のもとになるUV-Aを防ぐ度合いを示します。

PAの後に+(効果がある)、++(かなり効果がある)、+++(非常に効果がある)、++++(効果が極めて高い)の評価を示す記号が来ます。つまり「PA++++」が一番効果が期待できるということになります。

 

下記に生活スタイル、場面に応じた日焼け止めの選び方の目安となる表をご紹介しますので、参考にしてください。

スライド1

 

続いて「塗り方」です。

「ちゃんと使った方がいいことは知っているけどべたべたするから」とか「UV防止成分が入った化粧品を使っているから」ということで、自己流だったり、間違った塗り方をしてしまう人が多いようです。

間違った塗り方をすると、SPF・PAを基準に選んでも、効果が半減してしまいます。

正しい塗り方としては、

 

●顔編●

(1)1円玉大に日焼け止めを手に出し、額・両頬・鼻・あごの5点に付ける

(2)指の腹を使って均等に塗り広げる

*こめかみ、まぶた、鼻筋、フェイスラインも忘れがちなので、しっかりその部分にも塗り広げる

その後、1, 2をもう一度繰り返す。

 

●腕・足編●

(1)しっかり線を引くように日焼け止めを付ける

(2)まんべんなく塗り広げる

*足の甲や膝の裏なども塗り忘れないように注意

 

効果を期待するのであれば、ムラなく、まんべんなくが大事です。また効果を維持するためには、面倒でも2~3時間おきにつけ直すのがおすすめなようです。

 

<過度なUVケアによるデメリット>
紫外線は日焼けの原因になったり、シミなど光老化の原因にもなりうることを説明してきました。

しかし、紫外線は「ビタミンDの合成」を皮膚細胞で行う役割も担っているのです。

このビタミンDには「骨の形成」という重要な役割があります。

 

ビタミンDは基本的に食事からの摂取と、紫外線による皮膚での生成で補われています。

しかし最近ではUV=美容の敵ということでUVケアを徹底するあまり、皮膚におけるビタミンDの合成が少なくなり、ビタミンD欠乏状態の人が増えているという現状があります。

 

実際に20代の学生を中心にビタミンDの栄養状態を調べた研究においては、週3回以上日焼け止めを塗っている人と、週2回塗っている人を比べると、週3回の人たちの方がビタミンDが低下しているということがわかり、さらには1年を通して血中ビタミンDが基準を下回る「欠乏状態」であることがわかっています(第36回日本骨代謝学会学術集会より)。

 

骨は30代までに骨密度が最も高くなる時期を迎えて、それ以降徐々に低下します。ビタミンDは骨の形成のために非常に大事な栄養素ですが、若いうちから慢性的に不足の状態が続くと、将来的には骨がスカスカになる「骨粗しょう症」のリスクを抱えることになります。

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過度に紫外線を嫌って、ケアをしすぎるのも身体によくないことも覚えておきましょう。

 

●アサイゲルマニウム(レパゲルマニウム)と日焼けのお話●

 

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実は、レパゲルマニウムには日焼けによって過剰に作られるメラニンの産生を抑える働きがあります。

その研究成果は3月の日本薬学会にて発表しています。
レパゲルマニウムはメラニンをつくる過程に働きかけて、メラニン産生を抑えることが明らかになっています(詳細はこちら)。

<まとめ>
紫外線は特に夏場に量のピークを迎えますが、年中地表に降り注いでいます。

時期や活動シーン、生活スタイルなどによって適切な方法でUVケアを行うことが重要です。

ただし、適度に紫外線を浴びるのも骨にとっては大事なこと。

ケアも大切ですが、私たちの身体に恩恵を授けてくれることを忘れないようにしましょう。